【カナダ銀行、利下げ】あなたのモーゲージ、月々の返済額はいくら変わる?タイプ別徹底解説!
- natsukigash
- 9月19日
- 読了時間: 6分
カナダ銀行が政策金利を0.25%引き下げるという、多くのローン利用者にとって嬉しいニュースを2025年9月17日に発表しました。これにより、銀行のプライムレートは4.95%から4.70%に低下します。
この決定は、私たちの家計にどのような影響を与えるのでしょうか?
この記事では、なぜ利下げが起きたのかという背景から、ローンタイプ別にどのような影響があるのかまで、分かりやすく解説します!

なぜ今、利下げが決まったの?3つの理由をわかりやすく解説
今回の利下げは、カナダ銀行が経済の「健康診断」をした結果、「少し元気がなくなってきたので、サポートする薬(利下げ)を処方しよう」と判断したようなものです。
その診断の根拠となった、3つの大きな理由を見ていきましょう。
理由①:カナダと世界の経済が「減速」しているから
これまで好調だった世界経済に、少しブレーキがかかり始めています。これが最大の理由です。
世界経済の動向
アメリカ: 消費者の財布のヒモが固くなり、雇用の伸びも鈍化。カナダにとって最大の貿易相手国であるアメリカ経済の減速は、大きな影響があります。
ヨーロッパ&中国: アメリカとの貿易問題などの影響で、経済成長の勢いが弱まっています。
カナダ国内の状況
経済成長がマイナスに: カナダ経済は第2四半期に約1.5%縮小しました。特に、貿易問題の影響で輸出が大きく落ち込んでいます。
雇用の伸び悩み: 企業が採用に慎重になり、失業率が7.1%に上昇。働く人の数や賃金の伸びが鈍くなると、消費全体が冷え込む原因になります。
一言でいうと:経済のエンジンである「輸出」や「企業の投資」「雇用」の力が少し弱まってきたため、テコ入れが必要だと判断されたわけです。
理由②:物価上昇(インフレ)が落ち着いてきたから
「インフレ」とは、モノやサービスの値段が上がり続けることです。インフレが行き過ぎると、それを抑えるために「利上げ」が必要になります。
しかし、現在の状況を見てみましょう。
消費者物価指数(CPI)は1.9%と、カナダ銀行が目標とする2%に近い、非常に安定した水準にあります。
一時期懸念されていた急激な物価上昇の波は、落ち着きを見せています。
さらに、政府が米国製品への報復関税を撤廃したことも、今後の物価安定につながると見られています。
一言でいうと:経済を冷やす必要のある「高すぎるインフレ」の心配がなくなったため、安心して利下げというアクセルを踏める環境が整った、ということです。
理由③:金融政策の目的は「経済のバランスを取ること」だから
カナダ銀行の最終的な目標は、物価を安定させつつ、経済全体の成長を支えることです。
今回の判断:経済が弱まっており、インフレのリスクも低い。この状況を踏まえ、カナダ銀行は「今こそ金利を下げて、企業がお金を借りやすくしたり、個人のローン負担を軽くしたりして、経済活動を後押しすべきだ」と判断しました。
今後の見通し(注意点):ただし、銀行は「まだ安心はできない」という見方もあります。米国の関税などの貿易問題が、今後カナダ経済にどう影響するかは不透明です。そのため、状況を慎重に見守りながら、必要に応じてさらなる対応をとる姿勢です。
あなたへのモーゲージの影響は?
今回の利下げで最も直接的な影響を受けるのは、変動金利型のモーゲージを組んでいる方々です。
具体的に、月々の負担はどれくらい軽くなる?
発表によると、今回の利下げで「ローン残高10万ドルあたり、月々約15.34ドルの返済額が減少する」と試算されています。
ローン残高 | 月々の返済額の減少(目安) |
300,000ドル | 約 46.02ドル |
500,000ドル | 約 76.70ドル |
700,000ドル | 約 107.38ドル |
1,000,000ドル | 約 153.40ドル |
毎月のコーヒー代や光熱費の一部が浮く計算になり、家計にとっては嬉しい変化ですね。
【重要】変動金利のモーゲージ、あなたのタイプはどっち?
「変動金利」には、実は大きく分けて2つのタイプがあります。この違いによって、今回の利下げの影響が大きく変わりますので、ご自身の契約を確認してみましょう。
タイプ1:返済額も変動するタイプ(Adjustable-Rate Mortgage)
【影響】プライムレートに連動して、月々の返済額自体が自動的に減少します。 すぐに家計の負担が軽くなるのを実感できるタイプです。
【おすすめのアクション】
差額を有効活用する: 浮いた分を貯蓄や投資に回し、将来のための資金作りを加速させるのがおすすめです。
繰り上げ返済を検討する: 以前と同じ金額を支払い続けることで、実質的に繰り上げ返済となり、元金をより早く減らすことができます(※銀行への手続きが必要な場合があります)。
タイプ2:返済額は固定のままのタイプ(Variable-Rate Mortgage)
【影響】カナダの大手銀行はこのタイプの変動金利多いです。金利は下がりますが、月々の返済額は契約期間が終わるまで変わりません。 その代わり、返済額の「内訳」が変化し、利息の支払いが減って元金の返済に充てられる割合が増えます。 つまり、目に見える変化はありませんが、モーゲージ完済が早まるという大きなメリットがあります。
【おすすめのアクション】
何もしなくても、自動的に元金返済が加速し、将来の利息負担を減らせます。
もし月々のキャッシュフローを楽にしたい場合は、銀行に連絡して月々の返済額自体を引き下げてもらえるか相談してみましょう。
固定金利ローン(Fixed-Rate Mortgage)をご利用中の方
【影響】契約期間中の金利は変わらないため、今すぐ月々の返済額に変化はありません。
【おすすめのアクション】
更新時期を確認する: モーゲージの**更新(Renewal)**が近い方はチャンスです。市場金利が下がっているため、更新時に今よりも有利な金利で契約できる可能性が高まります。更新日の数ヶ月前から、複数の金融機関やモーゲージブローカーに相談を始めましょう。
これからモーゲージを組む、または借り換えを検討中の方
【影響】今回の利下げは絶好の機会です。以前よりも低い金利でローンを組める可能性が高く、同じ予算でもより多くの金額を借り入れできる(=購買力が上がる)可能性があります。
【おすすめのアクション】
金利の事前承認(Pre-approval)を取得する: 物件探しを始める前に、現在の有利な金利で事前承認を得ておくと、ご自身の予算が明確になり、交渉をスムーズに進められます。
まとめ
今回の利下げは、多くのモーゲージ利用者にとって追い風となります。しかし、カナダ銀行は今後の経済状況を「慎重に見守る」姿勢を示しており、将来金利がどう動くかは誰にも断言できません。
この機会を単なる「ラッキー」で終わらせず、ご自身の家計や返済計画を見直す良いきっかけとしましょう。
次回のカナダ銀行による金利発表は、2025年10月29日です。 今後も経済ニュースに注目し、賢く資産を守り育てていきましょう。
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